2012 年 73 巻 5 号 p. 1257-1262
稀な成人発症小腸腸間膜裂孔ヘルニアの2例を経験したので報告する.症例1:21歳男性.上腹部痛を主訴に当院紹介受診.保存的に経過観察されたが症状改善せず翌日再診となる.再検した腹部CTで内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断,緊急手術となった.回腸末端より50cm口側の腸間膜に径3cmの裂孔を認め,回腸80cmが陥入していた.裂孔を縫合閉鎖し終了した.症例2:28歳女性.緊急帝王切開術後腹痛,嘔吐出現.保存的に経過観察されたが,数日後のCTで絞扼性イレウスと診断し緊急手術となった.回盲部から100cm口側の腸間膜に径4cmの裂孔があり回腸が150cm嵌入していた.壊死腸管150cmの切除を施行した.腸間膜裂孔ヘルニアは診断が難しく,腹部所見やCTを中心とした画像所見の経時的な評価から手術の必要性を考慮することが重要である.