日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸間膜原発の悪性線維性組織球腫の1例
木村 明春広松 孝高良 大介尾辻 英彦前田 隆雄待木 雄一吉田 カツ江
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1278-1281

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抄録

症例は70歳,女性.右下腹部の腫瘤を主訴に近医を受診し,腹部CTにて右下腹部に腫瘤性病変を指摘され当院に紹介された.右下腹部に手拳大で弾性硬の可動性良好な腫瘤を触知した.検査後,大腸非上皮性悪性腫瘍や腸間膜発生の腫瘍を疑い手術を施行した.開腹すると盲腸から上行結腸にかけての腸間膜より発生する腫瘤を認めた.回盲部切除術を施行し,腫瘤を腸管とともに一塊に摘出した.病理検査で腸間膜原発の悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma;以下MFHと略記)と診断された.現在術後1年経過したが,無再発生存中である.MFHは成人の四肢軟部組織に好発する非上皮性悪性腫瘍であるが,腸間膜が原発の報告例は少ない.今回,腸間膜原発のMFHの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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