2012 年 73 巻 6 号 p. 1460-1464
症例は44歳,女性.腹痛,腹満を主訴に来院した.腹部レントゲン,CTにて著明に拡張した結腸とその近傍に存在する腸間膜腫瘍を認めた.注腸造影にて拡張した腸管は横行結腸重複症と診断した.手術を施行し,腸間膜腫瘍と重複腸管を一塊に切除した.病理組織学的に腸間膜腫瘍はdermoid cystと診断した.
消化管重複症は胎生期の発生異常が原因とされ,成人発症は稀である.一方dermoid cystは性腺が好発部位であるが,腸間膜からの発生は極めて稀である.今回われわれは腸間膜にdermoid cystを合併した成人発症の横行結腸重複症の1例を経験したので報告する.