日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵小細胞癌の1例
山田 英貴加藤 岳人柴田 佳久平松 和洋吉原 基夏目 誠治前多 松喜
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キーワード: 膵臓, 小細胞癌, 予後
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2012 年 73 巻 6 号 p. 1524-1529

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抄録

膵小細胞癌の1例を経験した.
症例は腹痛を主訴に来院した58歳の男性.CTにて膵体部に胃と肝外側区域を圧排する境界不明瞭な7cm大の低濃度の腫瘤を認め,造影にて辺縁部分がわずかに造影されるのみであった.胃と肝外側区域に浸潤する膵体尾部腫瘍と診断し,胃全摘・肝外側区域切除を伴う膵体尾部脾切除術を施行した.病理学的に膵原発の小細胞癌と診断した.術後すぐに多発肝転移と局所再発を認め,術後2カ月で死亡された.
膵小細胞癌は極めてまれな疾患であり,本邦では24例が報告されているのみである.本邦報告例を検討してみると,予後不良と考えられている膵小細胞癌においても,化学療法や放射線療法といった補助療法と根治を目指した積極的な手術治療を組み合わせた集学的治療により長期生存を得られる可能性があることが示唆された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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