日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療により長期生存が得られた大動脈リンパ節転移陽性膵癌の1例
出雲 渉古川 健司山崎 希恵子古川 達也桂川 秀雄重松 恭祐小松 明男
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2012 年 73 巻 6 号 p. 1536-1541

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抄録

症例は48歳,女性.健診で膵酵素の上昇を指摘され精査を実施し,膵体部に径2cmの造影効果の乏しい腫瘍と16b1,17bリンパ節の腫大を認めた.膵液細胞診でclass V,adenocarcinomaであり,膵癌Stage IVbの診断で当院紹介受診となった.術前評価でR0手術可能と判断し2008年5月膵体尾部切除術(3群リンパ節16b1,17bも含めた郭清)+脾臓摘出術施行とした.病理所見ではリンパ節16b1,17b転移陽性でT3,M1,Stage IVb,R0であった.術後gemcitabine(GEM),S-1を用いた化学療法に放射線療法を加え,局所リンパ節再発を認めるものの44カ月の生存を得ている.大動脈リンパ節転移陽性膵癌の中には集学的治療により長期生存が得られる可能性が含まれており,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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