日本臨床外科学会雑誌
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症例
精索内pleomorphic lipomaの1例
原田 勝久岡村 一樹内田 雄三駄阿 勉野口 剛
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2012 年 73 巻 6 号 p. 1551-1555

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抄録

症例は59歳,男性.左鼠径部の腫脹に気付き当院を受診した.腹部CT検査で左鼠径管の拡張と同部に径2cm大の低吸収性腫瘤を認め,脂肪腫を伴う左鼠径ヘルニアの診断で腰椎麻酔下に手術を施行した.精索内に小指頭大のヘルニア嚢を認め,これを剥離した.精索中央部に母指頭大で弾性軟の黄色腫瘤を認め,これを切除した.摘出標本は表面平滑で黄色,弾性軟.病理組織所見で脂肪細胞と間質成分を認め間質部分にfloret型巨細胞とロープ状の膠原線維束を認めた.免疫染色ではCD34が陽性でS-100は陰性であった.以上の所見よりpleomorphic lipomaと診断した.
本腫瘍は40代から70代の男性の後頸部,肩,背部に好発する比較的まれな腫瘍である.今回われわれは,精索内pleomorphic lipomaの1例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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