日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
胆嚢と胆管後区域枝に瘻孔を生じた胆嚢結石症の1例
三浦 健太郎袖山 治嗣中田 伸司西尾 秋人町田 泰一
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 7 号 p. 1774-1778

詳細
抄録

症例は64歳,女性.前医にて胆石症,急性胆嚢炎の診断で入院加療後,軽快し退院となった.胆嚢摘出術目的で当院初診となった.術前に施行した腹部造影CT,MRI検査で,胆石が胆嚢頸部に嵌頓しており,胆管後区域枝を圧迫する所見を認めた.血液検査上,肝胆道系酵素の上昇を認めていたため,Mirizzi症候群と診断した.精査のためERCPを施行したところ,胆嚢と胆管後区域枝に瘻孔を形成していた.術前にENBDチューブ挿入することで瘻孔を目視でき安全に手術を施行できた.瘻孔は胆嚢壁の一部を用いて縫合閉鎖したが,術後感染徴候などなく順調に経過した.Mirizzi症候群の術前には胆道造影検査が必須であり,また,胆嚢と胆管後区域枝の瘻孔形成は医学中央雑誌を検索した限りでは報告例はなく,瘻孔の閉鎖には胆嚢壁を利用して縫合閉鎖するという工夫が必要であった.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top