2012 年 73 巻 7 号 p. 1813-1816
回盲部腸間膜デスモイドの1例を経験したので報告する.症例は63歳男性.入院半月前から下痢が持続し,3日前から生じた右側腹部痛が増強したため当院を受診し腹部CT検査にて回盲部に膿瘍形成を指摘された.身体所見から右下腹部に限局する腹膜炎と診断し急開腹手術となり,術中所見から回盲部切除術を施行した.病理組織診断ではvimentin,β-catenin共に陽性でありデスモイド腫瘍と診断された.患者は第14病日に退院し術後23カ月経過した現在も再発を認めていない.自験例では病理検査にて切除断端陰性を確認しているが,デスモイド腫瘍は局所再発を繰り返しやすいため今後も慎重なフォローが必要である.