日本臨床外科学会雑誌
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症例
回盲部が嵌頓した鼠径ヘルニアの1例
良永 康雄吉田 卓義細井 則人首藤 介伸天野 正弘住永 佳久
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1831-1834

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抄録

症例は58歳,男性.嘔吐について近医を受診し,精査加療目的に当院紹介となった.来院時,腹部全体に軽度の膨隆と右鼠径部から陰嚢にかけて約10cmの膨隆を認めた.腹部CT上,腸管を内容とする右鼠径ヘルニアとそれを閉塞起点とする腸閉塞を認めた.右鼠径ヘルニア嵌頓による腸閉塞の診断で外来で用手整復を行った.整復後に経過観察入院としたが,3時間後に再発した.用手整復できず緊急手術を行った.外鼠径ヘルニアであり,ヘルニア内容は回腸末端,盲腸,虫垂,上行結腸の一部に及んだ.腸管に壊死所見はなく,腸切除は行わずULTRAPRO Hernia System(UHS)で修復した.術後経過は良好で術後6日目に退院した.回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの嵌頓の本邦報告例は自験例を含めて17例であり,比較的稀な症例と考えられ文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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