日本臨床外科学会雑誌
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症例
妊娠に合併した原発性副甲状腺機能亢進症の1例
石黒 友唯山本 貢細田 充主田口 和典高橋 弘昌
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2012 年 73 巻 8 号 p. 1882-1886

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抄録

原発性副甲状腺機能亢進症は2,500~5,000人に1人の割合で発見されうるが,妊娠に合併した症例は非常に稀である.今回,妊娠適例期に手術し,胎児に合併症なく出産を終えたので報告する.
38歳,女性.2008年11月に微熱,体調不良にて近医を受診し,血清カルシウム値,intact-PTHの異常高値を認め,超音波検査,CTにて右および左下副甲状腺腫大による副甲状腺機能亢進症と診断された.本人の都合で経過観察をしていたが,妊娠を契機に当科紹介となり,2010年8月(妊娠24週4日目)に副甲状腺全摘術(一部筋肉内移植)を施行,同年12月に出産を迎え母児ともに合併症もなく経過している.
妊娠に本症を合併した症例は流産,死産,未熟児,新生児テタニーなどの障害を高率に引き起こすとされる.妊娠中の高カルシウム血症や新生児テタニーを認めた場合には,本症の存在を念頭に置いて診断を進める必要がある.

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