日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後10年で発症した播種性骨髄癌症の1例
宮崎 真一郎太田 学神谷 欣志馬場 聡今野 弘之
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キーワード: 胃癌, 播種性骨髄癌症, 剖検
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2012 年 73 巻 8 号 p. 1965-1969

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抄録

症例は62歳,女性.1999年,52歳時にStage IIIAの胃癌に対し胃切除術を施行された.術後5年まで再発所見なく経過したが,2009年12月,右肩痛,紫斑,全身倦怠感が出現し,他院でALP高値および凝固異常を指摘され当科に入院した.血液検査でDICの所見,骨シンチでsuper bone scanを呈した.FDG-PETでは他部位に異常集積がなく,胃癌播種性骨髄癌症と診断した.MTX/5-FU療法を3回施行したがDICから離脱できず,急性硬膜下血腫を併発し入院後31日目に永眠された.剖検にて,胃癌骨髄転移の確定診断を得た.癌は骨髄以外の多臓器にもびまん性に認めた.播種性骨髄癌症は,固形癌が骨髄に転移をきたしDIC等種々の血液学的異常を引き起こす予後不良な病態である.術後長期経過し発症した症例で,剖検が得られた症例は稀少である.過去の剖検例をまとめ文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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