日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術後にPTGBD瘻孔部より胆汁瘻を認めた2例
柴崎 晋戸井 博史津田 一郎中村 貴久長谷 泰司
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2040-2044

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抄録

中等度の急性胆嚢炎に対し経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を施行し,待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術後PTGBD瘻孔部から胆汁瘻をきたした2例を経験したので報告する.症例1は75歳女性.当院通院中に右季肋部痛と黄疸,肝機能障害を認めた.CTで中等度急性胆嚢炎と診断し,PTGBDを施行した.炎症所見の改善を認め,18日後に待機的に手術を施行した.症例2は66歳女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.US/CTにて中等度急性胆嚢炎と診断し,PTGBDを施行した.症状や炎症所見は改善し9日後に待機的に手術を施行した.2例とも術翌日のドレーンから胆汁排出を認め,内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)留置後の胆道造影にてB5末梢部より胆汁漏出を認めた.どちらも数日で胆汁流出が収まり,ドレーンを抜去後退院した.PTGBD施行例では刺入部の末梢胆管より胆汁瘻が起こる可能性があり,注意が必要と考えられた.

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