2012 年 73 巻 9 号 p. 2205-2208
77歳,男性.転落外傷で左第1~第5腰椎横突起骨折および後腹膜出血の診断で他院に入院し,血圧不安定なため翌日当院搬送となった.腹部造影CTでは左後腹膜腔の造影剤の漏出を認め,腰椎横突起骨折に伴う腰動脈損傷と診断した.緊急の血管造影を行い経動脈的カテーテル塞栓術を試みたがマイクロカテーテルが腰動脈に入らず,選択的腰動脈塞栓が困難であったため,大動脈へのステントグラフト内挿術に変更した.造影剤の漏出はわずかに残存したものの大幅に減少し手術終了後血圧は安定した.翌々日の造影CTでは造影剤の漏出の消失が確認された.腰動脈損傷の治療はカテーテル塞栓術が第一選択であるが,ステントグラフト内挿術も有用であることが示唆された.