日本臨床外科学会雑誌
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症例
右中葉小細胞肺癌完全寛解8年後に右上葉非小細胞肺癌切除を行った1例
伊藤 淳江花 弘基蕨 雅大
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2235-2240

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抄録

症例は72歳,男性.2003年右中葉S4小細胞肺癌cT2N1M0,IIBに対し早期同時化学放射線療法[cisplatin(CDDP)+etoposide(VP-16)またはirinotecan(CPT-11)×4コース,加速過分割照射(40Gy)]を施行,完全寛解を得た.2010年5月胸部CT検査にて右上葉S3に30mmの結節影を認め,右上葉非小細胞肺癌cT1bN0M0,IAの診断にて手術適応とされた.小細胞肺癌放射線治療後の影響か中葉縦隔側の癒着剥離にやや難渋したが,右上葉切除+リンパ節郭清(ND2a-2)を施行しえた.2011年12月現在,再発の徴候は認めていない.限局型小細胞肺癌完全寛解後発症非小細胞肺癌切除報告例は本邦ではまれで,第二癌であるとの確定診断も容易でないが,放射線療法後同側であっても積極的に治療すると供に小細胞肺癌の再発も考慮した経過観察計画が必要であると考えられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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