2012 年 73 巻 9 号 p. 2278-2283
症例は68歳,男性.詳細不明であるが,胃の出血性病変に対して胃切除術を施行された既往があった.今回黒色便,心窩部不快感を主訴に当院内科を受診し,上部消化管内視鏡検査で胃内に多量の凝血塊を認め,同日入院した.第2病日の内視鏡再検で頂部に露出血管を伴う粘膜下隆起を認めこれをクリッピングで止血した.CTおよび血管造影で胃AVMの所見が認められ,止血が得られたことから保存的に加療されていたが,第11病日に再度多量の出血をきたし,動脈塞栓術を施行した.出血を繰り返していたことから,同日当科転科の上緊急手術を施行された.残胃を全摘しその後は現在まで良好に経過している.胃AVMの治療戦略を検討する上で貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告する.