日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸副乳頭神経内分泌腫瘍の1例
山田 兼史横溝 博内藤 嘉紀中田 由紀子林 亨治福田 精二平田 稔彦
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2284-2289

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抄録

症例は74歳,女性.人間ドックで上部消化管内視鏡を施行したところ,傍乳頭憩室を認め,その口側後壁に10mm大の粘膜下腫瘍様隆起を指摘された.内視鏡検査では,中心に陥凹を伴う褐色調腫瘍で神経内分泌腫瘍が疑われたが,初回の生検で腫瘍は指摘されなかった.超音波内視鏡検査では第2,3層に主座を置く,低~等エコー性病変で第4層は保たれていた.2回目の生検の結果,十二指腸神経内分泌腫瘍の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は10×8mmで病理組織学的に副乳頭部神経内分泌腫瘍と診断され,リンパ節転移はなかった.Ki-67指数と核分裂像数よりWHO分類のG1に分類された.副乳頭部神経内分泌腫瘍は非常にまれな疾患で,サイズが小さくても他の部位に比べてリンパ節転移の頻度が高く,検診時の上部消化管内視鏡検査が発見には重要である.手術としては,リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除術が必要と思われた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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