2012 年 73 巻 9 号 p. 2306-2310
症例は53歳,男性.上腹部痛出現し翌日右下腹部痛となり当院救急搬送され入院となった.入院時血液検査にてWBC 15,200/mm3,CRP 7.56mg/dlと炎症所見を認めた.腹部造影CT検査上回盲部の腸管壁に肥厚と腫瘤を,虫垂周囲には膿瘍腔を認めた.腫瘤を形成した急性虫垂炎と診断しlaparoscopic interval appendectomy(以下lapIA)を施行した.虫垂基部の腸間膜側に約1cmの腫瘤が存在し,病理組織学的検査で筋層を有した真性憩室の診断を得た.術翌日には食事を開始し,経過良好につき術後3日で退院となった.虫垂真性憩室は稀な疾患で本邦報告は自験例を含め12例となる.虫垂憩室は一度炎症を起こすと穿孔率が高いため初診時には回盲部膿瘍を形成していることが多く回盲部切除など侵襲の大きな術式となることが多い.lapIAはこれらを回避するための有用な術式であると考えられた.