日本臨床外科学会雑誌
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症例
V-Pシャントに続発した小児大網内髄液仮性嚢胞の1例
大割 貢米倉 竹夫小角 卓也太田 善夫
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2377-2382

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抄録

症例は2歳,女児.出生後に髄膜瘤,水頭症と診断され,V-P(ventriculo-peritoneal)シャントチューブが留置された.2歳時に突如,腹部膨満,頻回の嘔吐が出現したため当科を紹介された.受診時の腹部CT検査にて左上腹部を中心に巨大な嚢胞を認めた.V-Pシャントチューブの先端は右下腹部にあり,頭部CTには異常を認めなかった.髄液仮性嚢胞を疑いV-Pシャントチューブ挿入創部を小開腹し,嚢胞内にS.A.N.D.バルーン®を挿入し無色透明な髄液を吸引した.腹腔鏡下に腹腔内を精査したところ,V-Pシャントチューブが大網内に穿通し,髄液の吸収不全による大網内髄液仮性嚢胞を形成したと診断し,腹腔鏡下大網開窓術を施行し,シャントチューブの再留置を行った.しかし患児はその後も髄液仮性嚢胞を繰り返したため,術後5カ月目にV-Aシャントに変更し,現在は合併症無く経過観察中である.

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© 2012 日本臨床外科学会
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