2012 年 73 巻 9 号 p. 2383-2386
大腸癌手術時に偶然発見された小腸間膜異所性膵の1例を経験したので報告する.
症例は60歳男性.直腸,S状結腸の重複癌による腸閉塞で入院し人工肛門を造設.退院後に癒着性の腸閉塞で再入院となり,2期的に根治術を施行した.術中Treitz靱帯から約40cmの空腸に索状物を形成し,この間隙に小腸がすべりこむことでイレウスを生じていた.近傍の小腸間膜に25mm大の固い結節を触知し播種を疑い摘出し,術中迅速病理診断を行ったところ異所性膵の診断であった.手術は癒着剥離術と低位前方切除術を施行した.術後の病理組織学的検査で結節はHeinrich I型の異所性膵と診断された.