日本臨床外科学会雑誌
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症例
多量の腹腔内出血をきたした小腸GISTの1例
中里 紀彦志田 大若松 高太郎谷澤 徹宮本 幸雄
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2013 年 74 巻 1 号 p. 105-110

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抄録

GISTが腹腔内出血をきたすことはまれである.今回われわれは,約1,600mlの血性腹水を有した小腸GISTの1例を経験したので報告する.症例は43歳男性.腹痛・腹部膨満で当院受診.腹部造影CT検査で直径13cm大の巨大充実性腫瘤を認め,緊急入院した.腫瘤は軽度の造影効果を伴い,内部不均一であり腫瘍内出血していると考えられた.入院翌日に急激な貧血の進行(Hb 12.4→8.5g/dl)を認めたが全身状態に著変はなく入院10日目に待機的手術を実施した.開腹すると,凝血塊を含む多量の血性腹水と,Treitz靱帯より約30cm肛門側の空腸の腸間膜対側に管外性に発育し,被膜が破裂している径18cmの腫瘤を認めた.病理組織検査では紡錘形細胞の束状増殖を認め,c-kitおよびCD34が陽性であることから小腸GISTと診断した.術後はイマチニブを内服しており,術後6カ月経過観した現在再発は認めていない.

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