日本臨床外科学会雑誌
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症例
Bevacizumab併用化学療法中に急性虫垂炎にて手術を施行した1例
石川 文彦新田 宙釜田 茂幸山田 千寿伊藤 博諏訪 敏一
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2013 年 74 巻 1 号 p. 137-141

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抄録

症例は73歳,女性.S状結腸癌同時性多発肝肺転移にてS状結腸切除後,FOLFOX4 6コース,さらにbevacizumab併用し,計22コース施行した.途中9コース目にオキサリプラチンによるGrade2アレルギー反応が出現,以後オキサリプラチンのみ使用しなかった.病勢進行にてbevacizumab+FOLFORIに変更し,bevacizumab投与10日後,右下腹部痛を訴え急性虫垂炎の診断にて入院した.保存的治療開始したが軽快せず,緊急開腹手術を施行した.術中腹膜播種なく,大網に被覆された壊疽性虫垂炎を認め,虫垂切除,断端埋没した.術後14日間人工呼吸管理を要し,皮下膿瘍,腹壁膿瘍,腸液皮膚漏など様々な合併症を併発した.術後55日目FOLFIRI療法を再開できたが,bevacizumab投与中の緊急手術例は術後経過に十分注意する必要があると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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