日本臨床外科学会雑誌
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症例
下部胆管を原発とする内分泌細胞癌の1例
下平 悠介塩崎 弘憲須藤 一起鈴木 高祐小野寺 久
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2013 年 74 巻 1 号 p. 190-195

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抄録

症例は79歳,男性.2011年2月に黄疸を指摘された.精査で行った上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部口側隆起の腫大を認め,同部位の生検でcarcinomaを検出した.下部胆管癌もしくは乳頭部癌の術前診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本で下部胆管原発の径15mmの結節浸潤型の腫瘍を認めた.腫瘍は病理組織学的検索にてsynaptophysin陽性,chromogranin A陽性であり,下部胆管原発内分泌細胞癌(endocrine cell carcinoma)と診断した.補助化学療法としてサンドスタチンを投与したが,肝再発を認め,術後7カ月で死亡した.胆管を原発とする内分泌細胞癌は非常に稀であり,切除例でも予後は不良で,確立された術後補助化学療法もない.今後,より一層の症例の集積が必要不可欠と考え,本症例を若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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