日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腔内で胃穿孔した成人Bochdalek孔ヘルニアの1例
児玉 泰一太田 裕之塚山 正市川上 恭平藤岡 重一川浦 幸光
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2013 年 74 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

症例は72歳,女性.吸気時に左側胸部の痛みがあった.採血と腹部エコー施行するも異常なく帰宅し,4日後に左前胸部から背部にかけて痛みが増悪し救急外来を受診した.胸部X線写真で左横隔膜挙上と左胸水貯留あり,また炎症反応の上昇もあり入院となった.入院翌日に疼痛が増悪しショックバイタルとなり,胸部CTで横隔膜ヘルニア嵌頓および胃軸捻転症と診断し同日緊急手術となった.開腹すると左横隔膜背側の欠損部(Bochdalek孔)より胃,脾臓,横行結腸が左胸腔内に脱出しており,胃体上部前壁に約1.5cmの穿孔部を認め肺底部と穿通していた.胸腹部ドレナージ,胃全摘,R-Y再建,横隔膜修復,腸瘻造設術を施行した.術後,人工呼吸管理やエンドドキシン吸着療法などの集学的治療を施行し術後約2カ月で退院した.われわれは胸腔内で胃穿孔をきたした成人Bochdalek孔ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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