日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳糜腹水を伴った絞扼性イレウスの1例
宇治 祥隆徳永 美喜新上 浩司山口 方規高尾 貴史
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2013 年 74 巻 1 号 p. 92-95

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抄録

症例は63歳,男性.主訴は腹痛.2012年5月,夕食後に突然の腹痛があり救急搬送された.腹部造影CTで軽度の腹水と小腸の拡張,および上腸間膜動脈を中心とするwhirl signを認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹時に約550mlの乳糜腹水を認め,腸間膜と小腸漿膜の白色変化と浮腫を認めた.さらに,小腸は上腸間膜動脈を軸に270度捻転していた.絞扼解除により白色変化は改善し,血流も改善したために腸切除は必要としなかった.術後経過良好で第7病日に退院となった.血流が完全に遮断されない絞扼でもリンパ流が遮断され乳糜腹水を呈する絞扼性イレウスが発症する可能性が示唆された.

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© 2013 日本臨床外科学会
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