日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
鼠径法で手術を施行した閉鎖孔ヘルニア11例の検討
大原 みずほ城田 誠長尾 知哉斉藤 琢巳小谷 裕美
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 10 号 p. 2675-2678

詳細
抄録

閉鎖孔ヘルニアは痩せ型の高齢女性に好発する比較的稀な疾患である.開腹法による手術が一般的であったが,近年,鼠径法による手術症例の報告が増加している.当院でも鼠径法で手術を施行した11症例を経験したので報告する.患者の平均年齢は83.8歳,平均BMIは16.9,10例が女性であった.全例,腹部CTにより術前に閉鎖孔ヘルニアと診断された.手術は鼠径法で行い,腹膜前腔にDirect Kugel Patchを挿入した.平均手術時間は76分で,2例は小腸部分切除を行った.術後合併症として,肺炎1例,転倒による骨盤骨折1例を認め,術後平均在院日数は12.3日であった.鼠径法による閉鎖孔ヘルニア修復術は開腹法に比べ創が小さく低侵襲で,術後の回復も早い.また,同一の創から腸管切除・吻合も可能であり,汎発性腹膜炎併発症例を除けば標準術式となり得ると考えられた.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top