日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腺腫瘍を合併したCowden病の1例
吉川 拓磨神崎 正人井坂 珠子村杉 雅秀大貫 恭正
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2685-2689

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抄録

Cowden病は,特徴的な皮膚粘膜病変と全身過誤腫性病変による多彩な臨床像を呈する稀な常染色体優性遺伝性疾患であり,中年期以降では高率に悪性腫瘍が合併することが知られている.今回われわれは,乳癌術後のCowden病患者に胸腺腫瘍,腺腫様甲状腺腫を合併し手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は46歳女性.23歳時糖尿病治療中,顔面多発小丘疹,全身角化性丘疹を認めた.以前から消化管ポリープ,舌,咽頭乳頭腫症等を合併しており,38歳時鼻丘疹の切離標本と遺伝子解析により,Cowden病と診断された.45歳時左乳癌に対し乳房切除術を施行され,胸部CTで嚢胞性の前縦隔腫瘍および右肺結節影指摘された.PETで前縦隔に軽度集積あり,胸腺腫を疑い,同時に胸腺全摘+甲状腺全摘+肺部分切除術を施行した.病理組織診で多発胸腺嚢腫,腺腫様甲状腺腫,肺過誤腫と診断した.術後経過は良好で現在外来経過観察中である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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