日本臨床外科学会雑誌
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症例
特異な形態を示した男性非浸潤性嚢胞内乳癌の1例
三成 善光芦村 龍一百留 美樹板倉 正幸山本 伸子丸山 理留敬田島 義証
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2696-2700

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抄録

特異な形態を示した男性非浸潤性嚢胞内乳癌の1例を報告する.症例は74歳,男性.右乳頭直下の腫瘤を自覚し,当院を受診.右乳頭直下に径15mm大の境界明瞭で表面平滑,可動性良好な弾性硬の腫瘤を触診した.マンモグラフィーでは同部に15mm大の境界明瞭な高濃度の分葉状腫瘤を認めた.乳腺超音波検査では,腫瘤は多房性の嚢胞性病変で,充実性腫瘤影はなく,内部は無エコーであった.造影MRIでは17mm大の多房性嚢胞性病変として描出され,嚢胞壁の濃染が認められた.穿刺吸引細胞診では,嚢胞内容液は血性で,細胞診での良悪性の鑑別は困難であった.このため,診断と治療を兼ねた切除生検を施行した.病理組織学的に,拡張した乳腺腺管の内腔に低乳頭状構造を認め,非浸潤性乳管癌と診断した.嚢胞内乳癌は嚢胞内部に充実性腫瘤影もしくは結節影を認めることが特徴の一つであるが,本症例では多房性嚢胞で内部に腫瘤影を認めなかった.

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