日本臨床外科学会雑誌
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症例
頸部切開により摘出した食道魚骨異物の1例
若林 正和河野 悟保刈 岳雄相崎 一雄高橋 知秀高野 靖悟
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キーワード: 魚骨, 食道異物, 頸部切開
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2751-2754

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抄録

症例は48歳,女性.夕食に鯛のあら汁を飲んだ直後より咽頭部違和感が出現し受診した.Multi-detector raw computed tomography(以下MDCT)で頸部食道に高濃度の鋭利な陰影を認め,魚骨による食道異物と診断した.内視鏡的摘出を試みたが,魚骨の鋭利な部分が深く刺入嵌頓し動じず,摘出困難であった.魚骨の大きさや形状から二次的な食道損傷や偶発症をきたす可能性が高いと判断し,頸部切開による摘出へ移行した.頸部襟状切開にて頸部食道へ到達した.魚骨は食道壁外から確認できたが穿孔はしていなかった.食道壁を切開し魚骨を摘出した.術後第15病日に合併症なく軽快退院した.術後6年で遅発性の合併症を認めていない.内視鏡的摘出が困難であった食道魚骨異物に対し頸部食道切開を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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