2013 年 74 巻 10 号 p. 2766-2770
症例は80歳,女性.幽門側胃切除・Billroth II法再建の既往あり.67歳より癒着性腸閉塞に対して治療を繰り返していた.腹痛を主訴に当院受診となる.入院の上,保存的加療を施行したが,腹痛は増強し腹膜刺激症状が出現した.腹部CT検査において,残胃の著明な拡張と胃壁内ガス像を認めた.輸入脚・近位空腸の拡張と腹腔内遊離ガス像も認めた.消化管穿孔と診断し緊急開腹術を施行した.上腹部の癒着を剥離したところ,食物残渣の流出と残胃前壁の3cm大の破裂を認めた.近位空腸の拡張とその肛門側腸管の塊状癒着を認め,癒着性腸閉塞による残胃拡張から破裂に陥ったと診断した.胃破裂部周囲の菲薄化した胃壁を含む胃部分切除術を施行した.術後,集中治療を要したが,経口摂取可能となり術92日目にリハビリ目的に転院となった.癒着性腸閉塞が契機となった胃破裂の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.