2013 年 74 巻 10 号 p. 2808-2811
患者は25歳,男性.1年間続く上腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.初診時の腹部CT検査で,十二指腸下行部の腹側に嚢胞性病変を認めたが,来院時には症状が改善していたため外来で経過観察となった.1年後のCT検査で同病変の増大傾向を認めたため,手術目的で当科紹介となった.横行結腸間膜嚢胞性腫瘤と診断し,腹腔鏡下に手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜内に存在し,流入血管を処理した後に超音波凝固切開装置を用いて病変のみを切除した.術後の病理組織学的検索で横行結腸重複腸管と診断された.成人における大腸重複腸管は比較的まれであり,腹腔鏡下手術が行われた本邦報告例は自験例を含めて2例のみであるため報告した.