日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸結腸瘻を形成した結腸右半切除術後吻合部再発癌の1例
武藤 亮佐藤 耕一郎阿部 隆之赤田 徹弥福島 大造加藤 博孝
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2834-2840

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抄録

症例は66歳女性で,食欲不振・下痢・体重減少・口臭を主訴に来院.血液生化学検査で貧血と高度の低栄養を認めた.上下部内視鏡検査・注腸造影検査・CT検査を行い,十二指腸瘻を形成した吻合部癌,腹壁・肝・十二指腸・小腸浸潤の診断で,低栄養を改善後,回結腸吻合部切除・膵頭十二指腸切除・回腸部分切除・肝部分切除を施行した.病理組織所見は,mucinous adenocarcinoma(SI(十二指腸,膵臓,空腸),Stage II)であった.術後1年4カ月目に腹膜播種で再発したが,化学療法の効果もあり,術後3年8カ月の生存期間を得られた.十二指腸瘻を形成した進行結腸癌症例は全身状態が不良であることが多いが,経腸栄養を中心とした周術期栄養管理により,膵頭十二指腸切除を含めた拡大合併切除も比較的安全に施行可能である.また,積極的な拡大切除を行うことで治癒切除となり,予後やQOLの改善を期待できると考える.

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© 2013 日本臨床外科学会
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