日本臨床外科学会雑誌
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症例
著明な腹腔内遊離ガス像を認めた胆嚢穿孔の1例
大場 崇旦関野 康中田 岳成松下 明正熊木 俊成藍澤 喜久雄
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2885-2889

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抄録

胆嚢穿孔の主な原因は胆石を伴う急性胆嚢炎であるが,腹腔内遊離ガスを伴うことは稀である.今回,著明な腹腔内遊離ガス像を認めた胆嚢穿孔の1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.脳梗塞後遺症・高血圧症・糖尿病にて他院入院中に腹痛を発症し,加療目的に当院に救急搬送された.上腹部全体に圧痛・反跳痛・筋性防御を認め,腹部単純X線検査および腹部CT検査では腹腔内遊離ガス像が著明であった.CT画像では胆嚢頸部に結石が認められたが,胆嚢壁肥厚,気腫性変化はなく,消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では腹腔内には多量の胆汁様腹水が認められた.上部・下部消化管に穿孔所見はなく,胆嚢頸部に3mm大の穿孔を認め,胆嚢穿孔による腹膜炎と判断し胆嚢摘出術を行った.腹腔内遊離ガス像を認めた腹膜炎の緊急手術において,消化管穿孔部位が特定できなかった場合,胆嚢穿孔も鑑別診断として検索すべきであると思われた.

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