日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹部CT検査で術前診断した鼠径ヘルニア偽還納の1例
石村 健大谷 剛若林 久男
著者情報
キーワード: 鼠径ヘルニア, 偽還納, 嵌頓
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 10 号 p. 2935-2938

詳細
抄録

症例は74歳,男性.約10年前から右鼠径ヘルニアを認めており,脱出のたび自己整復していた.今回,自己整復後に腹痛・嘔吐が出現したため受診した.腹部CT検査で右下腹部に壁側腹膜から連続する嚢状病変の内部に浮腫状の小腸が認められ,鼠径ヘルニア偽還納による絞扼性イレウスと診断して緊急開腹手術を施行した.嵌頓を解除して腹膜前腔にメッシュを留置してヘルニア修復を行った.腸管切除は行わなかった.術後経過は良好で第7病日に退院した.鼠径ヘルニア偽還納は非常にまれな疾患であるが,術前の十分な問診と詳細な腹部CT画像の読影により診断可能であると思われる.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top