日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
急性虫垂炎術後に敗血症を呈した上腸間膜静脈血栓症の1例
本間 祐子熊野 秀俊室野井 智博田中 宏幸関口 忠司
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 11 号 p. 3068-3072

詳細
抄録

上腸間膜静脈(SMV:superior mesenteric vein)血栓症は,急性虫垂炎など腹腔内感染が原因の一つとされ,非特異的な症状のため診断に難渋する症例がある.今回われわれは急性虫垂炎術後に敗血症を呈したSMV血栓症の1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院へ緊急搬送となり,膿瘍形成を伴う急性虫垂炎の診断で,同日緊急手術を施行した.術後9日目に退院となったが,術後14日目に悪寒戦慄を伴う発熱が出現し来院した.来院時,敗血症を認め,腹部造影CTでSMV~門脈内の血栓形成を認めた.腸管壊死を疑う所見は認めず,抗凝固療法と抗生剤投与を中心とした保存的治療で症状は速やかに改善した.急性虫垂炎後に発症したSMV血栓症に対する1治療例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top