2013 年 74 巻 11 号 p. 3073-3076
症例は81歳,男性.25歳時に虫垂炎にて虫垂切除の既往がある.2010年12月頃より,下痢・便秘を繰り返していた.2011年3月,精査のため下部消化管内視鏡検査を施行したところ,中心部に粘液の貯留を認める隆起性病変を盲腸に認め,生検にて虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術前検査にてリンパ節転移や腹腔内転移などの悪性所見は認めず,2011年4月に腹腔鏡下盲腸切除術を施行した.摘出標本の病理組織検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.遺残虫垂に発生した虫垂粘液嚢胞腺腫は非常に稀である.今回,虫垂切除後56年を経過し,遺残虫垂から発生した虫垂粘液嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する.