日本臨床外科学会雑誌
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症例
下行結腸間膜原発と考えられた平滑筋肉腫の1例
後藤 沙織水上 陽赤神 正敏太田 秀一井ノ本 琢也足立 幸人
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2013 年 74 巻 11 号 p. 3087-3091

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抄録

結腸間膜原発平滑筋肉腫は比較的稀であり,下行結腸間膜に発生したものは本邦で自験例含め2例のみであり報告する.症例は46歳,女性.左側腹部痛を主訴に近医受診し腹部超音波検査にて6cm大の腫瘤を認めたため,当院紹介.各種画像検査では下行結腸内側に径6cm大の境界明瞭で内部不均一な腫瘤を認めた.後腹膜または下行結腸間膜由来の腫瘍と診断し腫瘍切除術を施行した.腫瘍は下行結腸間膜内に存在していた.後腹膜に癒着していたが,後腹膜下筋膜の層で剥離が可能であったため,結腸間膜原発と考えられた.病理学的には紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色でvimentin(+),α-SMA(+),calponin 1(+),caldesmon(+),c-kit(-)であり平滑筋肉腫と診断した.核異型は強く,MIB-1標識率は60%と増殖能の高い腫瘍であったが,術後9カ月現在再発を認めていない.

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© 2013 日本臨床外科学会
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