2013 年 74 巻 11 号 p. 3103-3107
症例は48歳男性で,便潜血反応陽性の精査にて下部消化管内視鏡検査を施行され,横行結腸癌が認められた.CT colonographyにて横行結腸に高度の壁変形像を認め,さらに,non-rotation typeの腸回転異常症を伴っていた.CT angiographyにて,腫瘍の支配血管は中結腸動脈(MCA)で,上腸間膜動脈(SMA)の左側から分岐し,上腸間膜静脈(SMV)背側を走行していた.以上より,腸回転異常症に併存した横行結腸癌と診断した.癒着が高度であり,開腹にて横行結腸部分切除術を施行した.郭清は,MCAがSMVの背側を走行していたためMCAの右枝で処理しD2とした.診断はtub2,pSS,pN0,ly0,v0,fStage IIだった.腸回転異常症に併存した右側結腸癌は,SMAとSMVの分枝の走行異常が多く,術前にCT angiographyにて血管走行を把握しておくことが重要である.