日本臨床外科学会雑誌
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症例
脾臓破裂にて発見された脾臓原発血管肉腫の1例
石橋 雄次若林 和彦大森 敬太伊藤 豊
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キーワード: 脾臓, 血管肉腫, 腹腔内出血
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2013 年 74 巻 11 号 p. 3191-3194

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抄録

症例は52歳,女性.心窩部痛を主訴に近医受診.血液検査にて,白血球の増加・血小板の減少を認めたため,精査目的で入院となった.入院後第8病日に強い左上腹部痛を認め,血圧の低下を認めた.腹部CT検査で著明な脾腫と脾臓周囲から胃背側に多量の腹水貯留を認め,脾破裂による腹腔内出血と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹時,多量の血液貯留を認め,脾臓は腫大し,表面不整であった.膵尾側切除を施行した.脾臓はほぼ腫瘍で置き換わっており,腫瘍細胞は胞巣状,あるいは類洞様構造を認めた.免疫組織染色では第8因子関連抗原,CD31が陽性であり,脾臓原発血管肉腫と診断した.術後4カ月で脳転移・肝転移・肺転移で死亡した.脾臓原発血管肉腫は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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