日本臨床外科学会雑誌
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症例
内視鏡的治療が有効であった食道入口部膜様閉塞を伴う表皮水疱症の1例
峯 由華須藤 隆一郎日高 匡章宮崎 健介善甫 宣哉
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キーワード: 表皮水疱症, 食道閉塞
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3281-3285

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抄録

症例は61歳,女性.先天性表皮水疱症の診断を受けている.2012年9月頃より右下顎歯肉の痛みがあり当院口腔外科受診し,下顎歯肉癌と診断された.同年12月,腫瘍および下顎骨合併切除術施行時,胃管挿入不能であったため,術後に内視鏡検査を施行したが食道入口部から挿入できなかった.腸管栄養目的に造設した胃瘻からと,口腔からの内視鏡検査で閉塞部を観察したところ,食道入口部の膜様閉塞と判断できた.胃瘻側よりガイドワイヤーを逆行性に貫通させバルーン拡張術を施行した.直径18mmまで拡張を行い,再狭窄がないことを確認して治療を終了した.表皮水疱症は厚生労働省指定の難病で,生下時から全身に水疱がみられ,口腔食道粘膜にも水疱が発生し,瘢痕狭窄による嚥下障害を認めることがある.術中の機械的刺激と術後の長期絶食が原因と考えられる食道閉塞をきたした表皮水疱症に対し,内視鏡的治療が有効であったため,文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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