日本臨床外科学会雑誌
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症例
内視鏡的破砕後に腸閉塞をきたした胃石の1例
磯野 忠大中田 晴夏芦沢 直樹土屋 博紀上村 和康
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3297-3300

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抄録

症例は81歳,男性.幽門側胃切除術の既往と糖尿病の加療中であった.黒色便を認め当院消化器内科を受診し上部消化管内視鏡を行うが異常は指摘されなかった.その後,頻回の嘔吐を認め入院精査となった.CT検査でTreitz靱帯付近に表面平滑で含気性の6cmの腫瘤を認め,胃石の十二指腸水平脚嵌頓と診断され内視鏡治療が行われた.十二指腸深部のため操作が困難で可及的な破砕を行い経過観察となった.翌日のCT検査では胃石は骨盤内小腸へ移動し排ガス・排便もみられた.その後,胃石は停滞しイレウス症状が出現したためイレウス管を挿入した.心機能が悪く各科コンサルトし破砕後25日目に準緊急的に手術を行った.回盲部より60cmの回腸に胃石が嵌頓し,小腸壁は一部壊死していたため,小腸部分切除術を行った.術後心室頻拍などの重度の心合併症が見られたが迅速な対応で回復し,術後14病日に軽快退院となった.胃石の内視鏡治療にあたっては十分小さく破砕する必要がある.

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