2013 年 74 巻 12 号 p. 3350-3354
症例は78歳,女性.C型慢性肝炎にて通院中,2003年7月の造影CT検査で30mm大の骨盤内腫瘍を指摘された.注腸造影検査にて全大腸に異常所見を認めなかった.また,経腟エコー検査にて婦人科疾患は否定的であった.経過観察としたが,撮影毎に位置が変化するも大きさは不変であった.血清AFP値は基準値内であったが,2010年5月に40.7ng/mlと急上昇した.同月,造影CT検査を行ったところ,肝腫瘍は認められなかったが,骨盤内腫瘍が50mm大へと増大していた.造影MRI検査で骨盤内腫瘍が小腸GISTと判断できたため,同年9月小腸部分切除術を施行した.切除標本病理検査は低悪性度GISTの診断であった.AFP免疫染色は繰り返し施行したが全て陰性であった.手術後血清AFP値は急低下し,2010年11月には基準値内となった.その後も血清AFP値は基準値内で推移し,術後3年2カ月無再発生存中である.