日本臨床外科学会雑誌
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症例
肺癌再発に対する癌性疼痛管理中に発症したNSAIDs起因性大腸潰瘍穿孔の1例
豊島 雄二郎篠原 敏樹前田 好章二川 憲昭濱田 朋倫鈴木 宏明
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キーワード: NSAIDs, 大腸潰瘍, 大腸穿孔
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3372-3376

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抄録

症例は78歳,男性.2011年12月,糖尿病・心房細動・慢性腎不全のため近医で加療中に左肺扁平上皮癌を発見され,放射線加療を行った.2012年4月頃から左下肢痛が出現し,左坐骨神経周囲軟部組織転移への転移を認めた.当院放射線科に入院し,麻薬およびNSAIDs等の鎮痛剤投与および同部位への放射線加療を行った.治療開始第24病日に40℃の発熱および腹部膨満が出現し,第28病日のCTで著明な腹腔内遊離ガスと腹水を認め当科紹介,腸穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を行った.開腹時,横行結腸中央部と肝弯曲寄りに穿孔部を認め,さらに多数の潰瘍を認めた.穿孔部位を含む横行結腸を切除し,口側断端を用いて人工肛門を造設した.病理結果では,非特異的大腸潰瘍の穿孔であり,NSAIDsが誘因と考えられた.術後は合併症なく経過し,術後第26病日に緩和ケア目的に転院した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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