日本臨床外科学会雑誌
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症例
子宮頸癌術後に腹腔内膿瘍を契機に発見された転移性大腸癌の1例
田内 潤永原 央澁谷 雅常野田 英児前田 清平川 弘聖
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3405-3409

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抄録

症例は44歳,女性.不正性器出血を契機に子宮頸癌IIb期,T2bN0M0と診断され,広汎子宮全摘術,両側卵巣吊り上げ術を施行された.術後7カ月頃から右側腹部痛を自覚し,CT検査所見にて右傍結腸溝に腹腔内膿瘍を認め,膿瘍腔造影では膿瘍腔と上行結腸の間に瘻孔を形成していた.膿瘍ドレナージを施行するも改善を認めず,右半結腸切除術,腹腔ドレナージ術を施行した.上行結腸に穿孔部位を認め,盲腸から上行結腸の外背側にかけて壁硬化像を認め,膿瘍腔を形成していた.病理診断にて穿孔部粘膜下層,漿膜側腫瘤付着部にsquamous cell carcinomaを認め,腫瘤には卵巣と卵管の組織が含まれていた.子宮頸癌上行結腸転移と診断された.悪性腫瘍の大腸転移は比較的稀な病態であり,今回われわれは子宮頸癌大腸転移の1例を経験したので若干の文献的考察をふまえて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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