日本臨床外科学会雑誌
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症例
ランデブー法ERCPで胆管切石を行った重複胆管の1例
加藤 洋介尾山 佳永子吉田 周平奥田 俊之太田 尚宏原 拓央
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3455-3458

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抄録

重複胆管は極めて稀な胆道系形成異常で,様々な胆管分岐形態をとり,半数に胆道結石を合併する.症例は69歳,男性.主訴は右季肋部痛.腹部USで胆嚢結石を指摘され,手術目的に紹介となった.術前MRCP・DIC-CTで総胆管結石を合併した重複胆管と診断した.ERCPを施行したが,膵胆管合流異常を合併し選択的カニュレーション不能であった.術後に重症膵炎を発症した.胆管径が4mmと細く,胆管切開と再建を回避することと,術中の重複胆管損傷回避のためにランデブー法を用いた切石術を計画した.膵炎発症8週間後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したが,膵炎による高度炎症のため開腹移行した.胆嚢摘出後に術中胆道造影を施行し,胆嚢管断端よりガイドワイヤーを十二指腸に誘導し,EPBDを施行して切石した.第9病日に合併症なく退院した.ランデブー法は,重複胆管症例において術中の胆道損傷を回避し得る有効な治療選択肢と考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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