2013 年 74 巻 2 号 p. 339-345
はじめに:単孔式手術が注目されているが,単孔式経臍腹腔鏡補助下虫垂切除術(transumbilical laparoscopic-assisted appendectomy(以下TULAA))に関するまとまった報告はない.当科におけるTULAAを検討したので報告する.対象および方法:2005年7月から2010年4月に虫垂炎にてTULAAを施行した212例を対象として完遂率,完遂困難因子を検討し,合併症は同時期に実施した開腹手術と後方視的に比較検討した.結果:完遂率は79.7%であった.また,21歳以上でBody Mass Index(以下BMI)が21以上の症例は完遂が困難であった.合併症発生率は1.4%であり,開腹手術の9.6%と比較して発生率は有意に低かった.考察:TULAAは症例を選択すれば,まず試みる術式として有用と考えられる.完遂困難因子は年齢およびBMIに関連を認めた.