2013 年 74 巻 2 号 p. 380-385
症例は71歳,男性.Vogt-小柳-原田病の精査加療中,全身CTで食道壁肥厚を指摘され,当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査でMtに2型腫瘤を認め,組織診の結果内分泌細胞癌の診断であった.PETおよびCTでは主病巣の他,3領域にわたり多数の転移リンパ節を認めた.遠隔転移は認めず,cT3 N2 M0 stage IIIと診断した.術前補助化学療法(NAC)としてCPT-11+CDDP投与を2コース施行し,腫瘍は著明に縮小.PRの判定となった.右開胸開腹食道切除+胃管再建+3領域リンパ節郭清術を施行し,NACの組織学的効果判定はGrade 2,郭清リンパ節123個にviableな腫瘍細胞を認めなかった.術後CPT-11+CDDPを1コース追加し,現在まで再発なく経過している.食道内分泌細胞癌は稀な疾患で治療法も確立されていないが,NACと手術による集学的治療が有効である可能性が示唆された.