日本臨床外科学会雑誌
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症例
三回の完全腹腔鏡下肝切除術を行った高齢大腸癌肝転移の1例
中川原 英和増田 稔郎池上 徹調 憲池田 哲夫前原 喜彦
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2013 年 74 巻 2 号 p. 488-492

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抄録

症例は86歳,男性.Stage IIIAの盲腸癌およびStage IのS状結腸癌に対する回盲部切除およびS状結腸切除術より7カ月後,肝S5に10mm大の異時性肝転移を指摘された.高齢で,抗癌剤や分子標的薬の長期継続は難しいと考えられ,腫瘍は肝S5表面の単発性であったため,完全腹腔鏡下肝S5部分切除術を施行した.初回肝切除より10カ月後,肝S6に20mmの肝転移を,さらに4カ月後,肝S3およびS8にそれぞれ10mm大,16mm大の肝転移を認め,合計3回の完全腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.原発巣手術より2年2カ月を経過した現在,無病生存中で,外来にて経過観察中である.
腹腔鏡下肝切除術は根治的かつ低侵襲な治療で,さらに複数回施行することが可能であり,高齢患者に対する治療の第一選択となりうると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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