日本臨床外科学会雑誌
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症例
消化管経路変更術が有用であった膵頭十二指腸切除術後反復性胆管炎の1例
坂元 克考間中 大吉野 健史小西 小百合濱洲 晋哉西躰 隆太
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2013 年 74 巻 2 号 p. 529-532

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抄録

症例は80歳の女性で,2005年3月に十二指腸癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後胆管空腸吻合部狭窄あり,PTCD留置歴があった.PTCD抜去後も絶食および抗生剤治療のみで軽快する胆管炎を1回/年程度の頻度で起こしていた.2011年9月頃(術後6.5年頃)から頻度が急増し,反復するようになった.MRCPでは肝内胆管の拡張はなく,経口造影剤の胆管内への逆流が認められた.内視鏡的胆道造影においても吻合部狭窄はなく,胆管空腸吻合部より肛門側の空腸が屈曲し,造影剤の停滞が認められた.以上より,食物残渣による逆行性胆管炎を反復している状態と判断し,2012年1月に消化管経路変更術を施行した.術後経過良好で,以後入院を要する胆管炎は認めていない.膵頭十二指腸切除術後反復性胆管炎は比較的まれであるが,保存的・内視鏡的治療が無効であれば,外科的治療を考慮すべきである.

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