2013 年 74 巻 2 号 p. 533-536
30歳台,男性.既往歴なし.突然の左季肋部痛を主訴に近医を受診し,腹部CTで腹腔内出血を指摘され,当院紹介となった.来院時,意識清明で血行動態は安定していた.腹部造影CTで腹腔内出血,脾上極の裂創と造影剤の血管外漏出像を認め,ただちに経カテーテル的動脈塞栓術を施行した.入院後,貧血の進行を認めず,感染症や血液検査異常を認めなかった.初診時より心拡大,心機能低下を認め,拡張型心筋症と診断された.非外傷性脾破裂は感染症,血液疾患,代謝性疾患,悪性腫瘍などの疾患が背景に存在することがあるため,脾温存に迷う場合もある.本症例では,まず経カテーテル的動脈塞栓術で止血したのちに精査を行い,自然脾破裂と診断し脾臓を温存することが可能となり経過良好であった.