日本臨床外科学会雑誌
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症例
急速に形成され破裂に至った左胃大網動脈瘤の1例
前田 文荒井 邦佳安藤 昌之長浜 雄志福田 晃鴈野 秀明鄭 子文
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2013 年 74 巻 2 号 p. 557-563

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抄録

胃大網動脈瘤は極めて稀な疾患であるが,なかでも左胃大網動脈瘤は本邦でこれまで6例の報告があるのみである.今回,2週間で左胃大網動脈瘤が形成され破裂に至るという,極めて特異な経過をたどった左胃大網動脈瘤の1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.患者:77歳,女性.主訴:嘔吐,吐血.入院時の腹部CT検査等の所見から食道裂孔ヘルニア,逆流性食道炎,急性胆嚢炎と診断した.入院時の検査所見上,左胃動脈には明らかな動脈瘤の所見はなかった.入院後10日目と17日目に貧血と血圧低下を認めたため腹部造影CT検査およびDynamic CT検査を施行し,左胃大網動脈大網枝の動脈瘤破裂を疑い緊急手術となった.手術は瘤切除と血腫除去,脾臓摘出術,胆摘術を施行した.病理組織学的所見および臨床所見からこれまで報告されている原因にあてはまらず原因不明と考えられた.内臓動脈瘤の原因を究明するために,今後更なる症例の集積が必要である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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